また、憲法改正無限界説によれば、改正手続きが正しく行われれば主権の所在を変更することも可能であるから、主権が移動したこと自体は特に問題とされない。なお、憲法改正無限界説に立ちつつ、日本国憲法は、その制定過程から見て大日本帝国憲法の全部改正であって新憲法の制定ではなく、欽定憲法であって民定憲法ではないとする見解もある(全部改正説)[37]。 この点について、日本政府は、憲法改正限界説・無限界説のいずれに立つか明示することなく、「日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正手続によって有効に成立したものであって、その間の経緯については、法理的に何ら問題はないものと考える。」と表明している[38]。 占領軍の関与 日本国憲法は、アメリカ合衆国軍を中心とする連合国軍が日本を間接統治していた1946年(昭和21年)に公布され、翌1947年(昭和22年)に施行されている。さらに、その立案・制定過程においても、連合国軍総司令部が大きく関与している。このため、改正作業が行われている最中から、占領軍による憲法改正作業への介入に異議が唱えられ、日本国憲法の成立後も、同憲法は国際法上無効ではないかという押し付け憲法論が唱えられた。この立場には、履歴書 はその制定手続と内容から無効であるとする説、または、日本国憲法は占領下では効力を有するとしても、占領終結によって失効すべきものであるとする説がある。この点については、ハーグ陸戦条約43条との整合性が問題とされている。 ハーグ陸戦条約第43条は、次のように定めている。 第43条 国の権力が事実上占領者の手に移りたる上は、占領者は、絶対的の支障なき限り、占領地の現行法規を尊重して、成るべく公共の秩序及び生活を回復確保する為、施し得べき一切の手段を尽くすべし。(原文は旧字体、カタカナ書き。) この定めによれば、日本国憲法は、占領という異常事態の下で、しかも、占領軍の圧力に屈して制定されたものであるから、同条に違反し、日本国憲法は無効であるとする[39]。こうした主張に対しては、ハーグ陸戦条約は交戦中の占領軍にのみ適用されること、日本の場合は交戦後の占領であり、したがって、原則としてその適用を受けないこと、仮に適用されるとしても、ポツダム宣言・降伏文書という休戦協定が成立しているので、特別法は一般法に優先するという原則に従い、休戦条約(特別法)が陸戦条約(一般法)よりも優先的に適用されることなどが指摘されている[40]。 なお、日本政府は、この点について、「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則中の占領に関する規定は、本来交戦国の一方が戦闘継続中他方の領土を事実上占領した場合のことを予想しているものであって、連合国による我が国の占領のような場合について定めたものではないと解される。」と答弁している[41]。 制定過程に外国人(強いていうならば占領軍)が関与した点については、議論が今もなお続いている。もっとも、新憲法成立後多くの国民がそれを支持し、朝鮮戦争時に改正を打診された政府も「その必要なし」と回答、さらに新憲法下で数十年にわたって無数の法令の運用がなされた今、憲法は無効だという主張は少数となった。憲法は慣習として成立したと説明されることもある。一方で憲法改正におおいに関与したアメリカは1956年6月14日の上院外交委員会秘密会で国務次官補ロバートソンがハンド議員の質問に答え、アメリカが押しつけたものだと証言した。また、駐日大使を務めた、エドウィン・O・ライシャワーは著書の中で「日本人自身によって制定されたものではなかったのだ。」としている。 なお、極端なものだが、マッカーサーを仕事 上天皇の摂政であったとし、(当時は有効であった)大日本帝國憲法第七十五條の摂政をおいた期間での憲法・皇室典範変更を禁じる条文に反する[42]ので、現在の憲法は当時の憲法に違憲であり無効ではないかという意見[要出典]がある。一般にマッカーサーは摂政とはみなされていない。摂政及び国事行為臨時代行は、成年に達した皇族が1.皇太子、皇太孫2.親王及び王3.皇后4.皇太后5.太皇太后6.内親王及び女王の順位で就任する。 憲法改正手続 日本国憲法の改正のための要件は、第96条に規定されており、通常の立法のための要件よりも加重されたものとなっている(硬性憲法)。それによれば「各議院の総議員の三分の二以上の賛成」に基づき国会が憲法の改正を発議し、国民投票による「その過半数の賛成」による承認を必要とするものとされている。当該国民投票を実施するための細則については新たに法令によりこれを定める必要がある(2007年日本国憲法の改正手続に関する法律が制定された)。 そのほか各種の議論 基本理念についての議論 基本的人権の尊重に関して 天皇は元首か - 第1条、元首 女帝、生前退位は認められるか:ネットキャッシング は触れられていない。- 第2条、皇室典範。 国家安全保障上の不備 - 第9条 私学助成の制度は第89条に違反しているのではないか。 - 私立学校振興助成法 検察官の無罪判決に対する上訴は第39条の二重の危険の禁止に反しているのではないか。 憲法典に述べられていない問題 日本の憲法の主たる法源は、日本国憲法(形式的意味の憲法)である。ここでは、日本国憲法には述べられていない憲法上の問題について述べる。 領土 ゲオルク・イェリネックのいうオンラインゲーム の三要素のうち、国民 (Staatsvolk)・国家権力 (Staatsgewalt) に関して日本国憲法は論じているが、国家領土 (Staatsgebiet) に関しては、日本国憲法は沈黙している(これは比較憲法的には異例に属する)。日本国の領土を決定する法規範は、主として条約にある。 なお、大日本帝国憲法も、国家領土については沈黙していた。このため、帝国憲法施行後に獲得された領土については、憲法の場所的適用範囲が問題となった。これについては、肯定説・否定説・折衷説が対立した。 国家の自己表現 いわゆる国家の自己表現 (Selbstdarstellung des Staates) について、日本国憲法は規定していないが、比較憲法的には珍しいケースである。主な法源として、次のようなものがある。 日本国の国家体制、国号、政体に関する規定(ex.日本国は自由と民主主義に基く立憲君主国である、など)。 国旗国歌法:日本国の国旗は日章旗、国歌は君が代であることを規定している。 元号法:元号は政令で定めるべきこと、元号は皇位継承があった場合に限り改めること(一世一元の制)を規定している。 国民の祝日に関する法律 首都に関しては、1950年(昭和25年)の首都建設法がある(ただし、1956年に廃止)。 日本国憲法の解釈 日本国憲法は硬性憲法(改正のための要件が法律に比して厳しい)であるため、裁判所の判断(判例)のもつ重要性はより高いといわれる。
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